木目金×スキモレザー×イタリアンオイルホースレザーのスマホケース

今回のご依頼は値段は高くても長く使えてスタイリッシュでyesnosのオリジナリティーのあるカッコいいiphoneケースを作って欲しいとのご依頼でしたので総力を結集して「木目金」と「スキモレザー」と「イタリアンオイルホースレザー」を合わせたケースをお作りしました。

デザインポイントとしては、カードポケットやその他収納は一切不要とのことでしたので一枚革を原厚で使用した点、スマホを替えた時にサイズが変わってしまっても対応出来る物にして欲しいとのことでしたので各パーツを少ないハンドステッチで繋ぐことで次のケータイに合わせて土台の革を作れば主要パーツをののまま移植出来る仕様にした点、ケース自体にカメラの穴を開けたくなかったのでケースからカメラをスライドさせてカメラを使用できるようにする機構を内蔵しました。

以下、使用素材についてご説明させていただきます。

「イタリアンオイルホースレザー」

イタリアのトスカーナ地方に古くからある革のタンナーが集まっているサンタクローチェという地域で生産された馬革です。

革といえばイタリアを思い浮かべる方も多いのも納得できる長い歴史と伝統の技術、タンナー毎に脈々と受け継がれている「皮」を「革」にする鞣(なめ)しに使用する薬剤やオイルに門外不出のレシピがあったり、環境に優しい植物由来の天然成分(ベジタブルタンニン)を使用して通常よりも遥かに長い時間を掛けて革を仕上げていく昔ながらの方法からなる独特の深みと味わい、経年変化と使えば使うほどに手になじむ吸い付くような質感が人々を魅了してやまない理由ではないでしょうか。

食用に育てられる家畜が食べるもの、飲む水、育つ土地の気候風土の全てが革の表情に大きな差を生む要因であり、イタリアのトスカーナ地方の革にもそこの革の独特な雰囲気があります。

そんな地域で作られたこの馬革もまたゆっくりとベジタブルタンニンで鞣されてオイルをしっかり染み込ませてある重厚でありながらもしなやかで上品な表情をしています。

「木目金(もくめがね)」

ボタン部に使用している木目金という金属は知人の貴金属職人の方に作って頂きました。

「木目金(もくめがね)」とは、比重、融点、硬度の異なる金属を複数枚重ね合わせて熱で溶着した後削り出した時に浮かび上がる木目のような模様を持つ金属加工技術であり、400年前に太平の世となった江戸時代に発達し、廃刀令による刀の運命と共に失われてしまいはしたものの、現代の職人やアーティストの研究により再現されている大変美しい模様を持った日本発祥の金属工芸の一つです。

異なった性質を持つ多種多様な金属を合わせて模様を作る為、それぞれの金属に対しての多角的な知識と実際に扱う技術、出来上がりを想像しながら模様を削り出していく卓越した熟練度を要する大変デリケートな工程を踏んで完成する大変優雅な表情を持つレアメタルです。

金、銀、プラチナ、銅をベースにするのが主ですが、現代ではチタンやタンタル、ジルコニウム等を用いた木目金を作る技術も発達しており、正に温故知新を感じさせる技術です。

木目金の刀のツバ

簡単にではございますが真横で見た限りでわかる範囲の工程の説明も載せておきます。

銀と銅は相性がよく四分一(しぶいち)とは日本の伝統的な銀銅合金です。
銀の融点は1084度で銅は961度ですが銀と銅が接している時、接合面の融点は750度まで下がるのでこの「共晶点」という現象を利用して銀と銅の接合部だけを溶着させて合金化を防ぐ火加減がポイントになります。
火の温度が低いと溶着が不足して剥離しやすくなり、高いと合金になって木目が出ない。更にこのパーツは全方向から剥離する力のかかる球面のデザインなのでより確実に金属同士が溶着されていることが必須となる難易度の高い技術です。

色の違いが出るように異なる金属を交互に重ねて固定し加熱。共晶点で金属同士が溶着したら叩いてブロック状の金属ミルフィーユを薄い板状にします。
その板を彫ったり削ったりしながらその高低差が無くなるまで叩きながら延ばして加工硬化作用(金属が叩くことによってどんどん締まって固くなる現象)を避けるために絶妙な温度での焼き入れを繰り返すと金属で出来た木目の板が出来上がります。

ここまでの作業でやっと材料の完成で、ここからこのデリケートな素材を使用した金具づくりがスタートします。。。

木目金のボタン

今回はドットボタンに仕上げて頂いたのでカシメる脚を球面に加工した木目金板で巻き込んで溶接し、酸化、硫化、イオン化をを防ぐ為にセラミックを焼き付けて表面を保護しました。
木目金ボタン

70歳を超えても淡々と研究し作り続ける感覚の「鋭利さ」、千以上の道具が全て手を伸ばせば取れる距離に配置された「庵」のような、静かな時間の流れる空間で黙々と作業し続ける圧倒的な姿勢に畏敬の念を込めてこのパーツを使うシリーズに「鋭利庵」-ALIEN-と名付けました。

「スキモレザー」

スキモレザーとは、15歳から80歳の現在も現役で靴の月形職人をされている大久保さんという職人さんが長年の経験と研究の末に編み出した独自の技法で、東京都の賞を受賞された特許技術でもあります。

何色も別々に染色したベジタブルタンニン鞣しの革を何十枚も積み重ねて接着後に変形させて水平なり垂直に切断した断面に現れる模様を利用した革の加工技術であり、様々な模様を作る事が出来、日夜研究を続けられています。

革加工の職人だった父の跡を継いで、革職人になったという大久保さん。
当時の主な仕事は、革靴のかかとの内側に貼る革加工でした。
スキモレザーについて、大久保さんは「とても腕のいい職人だった父でも、亡くなった後に話題にする人はほとんどいなくなったことから、『どんなに腕のいい職人でも、皆の目にふれるものを作っていないと忘れられてしまう』と思い、『職人として自分にしかできないものを生み出したい』と強く考えるようになったことが始まりだと話します。
開発のきっかけは、革をたくさん重ね合わせて、それを彫刻刀で彫った作品を見たこと。
革がかなり多く使用されていましたが、革加工の職人である大久保さんは「もっと少ない枚数で実現できそうだ」と思い、作りはじめました。
そのうちに、さまざまな色の革を組み合わせることで、模様のあるレザーを作ることができると思いついたとのことです。

スキモレザー作りは、表現したい模様を考え、まず革を染めるところから始まります。
染める色合いにもこだわっているため、染め作業もすべて一人で行っています。
革が染め上がったら、どのように革を重ねて、どのように革を漉けばいいのか考えながら、何度も試行錯誤します。
「満足できる模様を生み出すために幾度も作業を重ねるので、満足のいく模様が出せたときはとてもうれしい」と大久保さんは言います。

このように、スキモレザーは工程が複雑で狙った柄をうまく出すことが非常に難しいため、オーダー注文は受けておらず、既に完成している模様の中から選んでいただいているとのことです。
「スキモレザーを仕入れた職人さんが、自由な発想で作り上げた作品を見るのも、楽しみのひとつです。」と大久保さんは言います。

日本とイタリアの素晴らしい職人達が作った本当に素晴らしい素材達に恥ずかしくないように、この一心で丁寧に仕上げました。

ご注文ありがとうございました。

「鋭利庵」/スマホケース

・ヒアリング

・デザイン

・作成

・料金目安¥50,000~(+TAX)

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